ゼロツク

最終的にゼロから人の役に立つ物を作りたいなぁ

ジェネリック医薬品を80%まで普及させることに関する考察

NewsPicksで後発医薬品(ジェネリック医薬品)に関する記事が、シェアされていたことがあり、そこでコメントした内容に補足を加えてメモとして残します。

ジェネリック医薬品に関する前提知識

◆国民医療費は約40兆円、調剤医療費は約7兆円(2013年厚労省)
◆2015/07/10のジェネリック協会発表によると下記の通り、2014年は新指標で52%ほど。
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◆指標の数量ベースと薬剤費ベースでは、また違うので%にも注意が必要。
◆ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、先発医薬品(新薬)の独占的販売期間(特許期間及び有効性・安全性を検証する再審査期間)が終了した後に発売される、先発医薬品と同じ有効成分で効能・効果、用法・用量が原則同一であり、先発医薬品に比べて低価格な医薬品。欧米では有効成分の一般名(generic name)で処方されることが多いため、「ジェネリック」という言葉で呼ばれています。

後発医薬品の使用促進を阻害する要因を考えてみた

①後発医薬品の品目数が多く医療機関や保険薬局で後発医薬品を採用する際の選択に係る業務負担や在庫管理の負荷が大きいこと
②品質保証(品質再評価)に対する不信感が根強いこと
③先発医薬品と比べ経済的メリットが低いこと

ジェネリック医薬品普及のための教科書的な答え

①安定供給
②品質に対する信頼性の確保
③情報提供の方策
④使用促進に係る環境整備
⑤医療保険制度上の事項改革
⑥ロードマップ実施状況のモニタリング

日本における後発医薬品普及のための行政動向

◆後発医薬品調剤体制加算を数量ベースでの加算に変更、点数と算定条件の改善
◆処方箋に記載された医薬品の後発医薬品への変更について、一定の条件化で可能に
 →この2つは薬局や病院で薬剤師での普及を促進するため
◆一般名処方加算(2点)の導入
 →これは医師が一般名処方するようにするため

なぜ欧米では普及しているのか?

後発医薬品シェアの国際比較として、
アメリカ(91%)、ドイツ(82%)、イギリス(73%)、フランス(約60%)

イギリスを例にとると、公的なNHSという医療保障制度があり、原則として国が国民の医療を負担しています。そこで、医療費削減施策を積極的に行っています。

◆医師に一般名処方率の目標値が示しており、達成すると経済的なインセンティブが与えられる。かかりつけ医(GP)の大部分が一般名処方。(2011年の一般名処方割合は83%)
◆地域薬局では、一般名処方に対して先発医薬品や後発医薬品を調剤するか薬局が選べるが、後発医薬品の償還価格しかNHSから貰えないため、先発品を選択する経営上のインセンティブはない。
◆NICEという医療経済の考えの元、高額な治療や薬について費用と効果が見合っているか評価する。そして、評価によりNHSでの使用が推奨されなくなる場合も。

日本で今後取り組まれるかもしれない施策(ニュースや私の勝手なもの)

◆薬価改定を2年毎から1年毎に変更
◆参照価格制度の導入

数量ベースと薬剤費ベースについての問題提起

この問題提起は面白い。調査している時に、なぜ数量ベースなんだろうと疑問に思っていたんだが、現場感覚としてもそうらしい。

最終的な目標は、後発品使用量を上げることではない。ようは、医療費削減が目的であるからして、金額ベースで見る方が正しい。
すなわち、「後発品の調剤金額」/「全薬品の調在金額」だ。

もともと安い薬をさらに下げるよりも、それなりに高い薬を下げる方が、医療費削減の効果は大きいんだけど、「数量ベース」で評価するとなると、そんなことは関係ない。
傾向としては、「どうでもいいような安い薬」をジェネリックに変える方が、後発品調剤率に反映されやすい気がするぞ。

これを読めば完璧

後発医薬品による医療費適正化に関する調査研究報告書(平成25年6月健康保険組合連合会)
http://www.kenporen.com/include/outline/pdf/chosa24_11_kaigai.pdf