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23andMeがシリーズEで7900万ドルの資金調達。創薬へ前進

ヘルスケア×ITの最新情報から離れたくないなと思い、アメリカの医療関連ベンチャーの最新情報をどうすれば効率よく収集できるか?ということを考えていました。そこで考えたのは、とりあえずIPOか資金調達をしているベンチャーを確認しておけば動向はわかるだろう。ということ。

という訳で、毎週ヘルスケアベンチャーについて調べた基本的には個人のメモ書きですが、ブログ記事にしていきたいと思います。

「資金調達した会社名称」に「fundraising」「raise」とかを掛け合わせて、検索すると資金調達のニュースが出て来て、情報を得る事ができると思います。(当たり前の話だが)株式公開の場合は、IPO(initial public offering)ですね。

23andMeがシリーズEで、7900万ドルの資金調達 

Genetic-Testing Startup 23andMe Seeks to Raise $150 Million - Bloomberg Business

上記の記事から、遺伝子検査の23andMeがシリーズEの資金調達をしたとのこと。そして、1億5000万ドルの資金調達も見込んでいるようで、遺伝子検査のデータから一気に医薬品開発に踏み込みそうです。将来的には、製薬会社になるのか?

そういえばどういう資金調達の経緯なんだろうと、23andMe | CrunchBaseの資金調達の経緯をみると、2012年のシリーズD以来の大きな資金調達なんですね。現在の資金調達総額は1億9100万ドル。

2015年2月に米国でブルーム症候群のみに遺伝子検査承認がおりる

23andMeは2014年11月22日にFDAから「基準を満たしていない」として遺伝子検査キット販売の禁止されていました。しかし、2015年2月、FDAはブルーム症候群(Bloom Syndrome)の遺伝子検査のサービス提供を承認。 

ちなみにカナダやイギリスでの遺伝子検査事業は継続中です。

この発表を見ると、消費者向け遺伝子検査サービスが広く承認される方向になったと思うかもしれませんが、実はそうではありません。下記の記事が分かりやすいので紹介ます。

ブルーム症候群の原因変異は、BLM遺伝子の劣性遺伝変異であり、この変異を持つ両親から生まれた子供が父母それぞれからその変異を受け継いだときにブルーム症候群に罹患する。さらに、この変異は、疾病罹患性に関する多くのSNPとは異なり、疾病発症に直接関わるものであり、科学的根拠も明確である点が異なる。

また、ブルーム症候群の検査はブルーム症候群に罹患していない人に対して行うものであり、被験者本人の診断目的ではない。通常の遺伝子検査(DTC遺伝学的検査)は、「占い」とか「おみくじ」と呼ばれるように、検査結果が示す疾病罹患性の有無についてはあいまいであるが、ブルーム症候群の遺伝学的キャリア検査は、ダウン症の遺伝学的キャリア検査と同様に両親にとってはベネフィットがあるといえる。

FDAは、「このような遺伝学的キャリア試験はclass II に該当するとして、消費者にサービスを提供する場合には特別なコントロールが必要ではあるが、FDAによる審査・承認は必要ない」と発表した。すなわち、FDAは、消費者が子供や親族の発症リスクを知ることは、FDAによって認可された専門機関による検査である必要がないと判断した。

遺伝子検査ベンチャー23andMe、創薬に挑む(前編)

 23andMeが取り組む創薬研究の流れ

23andMeは今後、保有する膨大な顧客のSNPと形質の連関データベースを生かしたGWAS (Genome-Wide Association Study) を元に製薬会社と連携して創薬に事業を拡大していくようです。

実際に、2014年8月よりファイザーと炎症性腸疾患(IBD) の原因変異探索。2015年1月よりGenentechとパーキンソン病の原因変異の探索を始めています。

製薬会社は新薬創出に苦労していることから、今後も23andMeと製薬会社の疾病罹患変異探索プロジェクトの連携を進んでいくと思われます。

いわゆる、「市民(患者)参加・データ駆動型創薬」が進む背景には、Apple ResearchKitなどの市民や患者情報を研究に進むデバイスが出て来ているのも1つの要因になるかもしれません。

日本ではどういう流れになるのか?

日本でもDeNAやヤフーなど多くの企業が遺伝子検査事業を行っています。最近は、あまりニュースで聞かなくなり下火になってますが、一般市民への情報理解へのリテラシー教育や、法整備など課題が多い分野です。

ただ、23andMeがアメリカで創薬に踏み出した今、日本の製薬会社はどういう動きをするのかも薬学生としては気になっています。世界規模の競争になると思うので、上手く民間企業と研究機関、行政が連携してスピード感を持って進むと良いなと思います。

「参考にしたオススメの記事」

遺伝子検査ベンチャー23andMe、創薬に挑む(前編)
遺伝子検査ベンチャー23andMe、創薬に挑む(後編)